
認知症村での衝撃~見聞した海外での事例紹介①~
皆さまこんにちは。挑戦中の鈴木です。
本日は、私が海外で見聞した認知症に関する事例の一つをご紹介します。
日本で過去10年ぐらいにわたり、学会や地域の様々な集会等に参加する中で、「認知症の人は症状が進むと、段々表情が乏しくなる」という話をよく耳にしました。そして実際、日本の高齢者施設を訪問すると、そのように見受けられる認知症の人とすれ違うこともあります。これを読まれている皆さまはいかがでしょうか。私自身も当初、進行とともに認知症の人はそうなってしまうものなのか…と思っていた時期がありました。ある光景に遭遇するまでは。
本日ご紹介するのは、高齢化の進む諸外国で創設されている通称「認知症村(dementia village)」と呼ばれる施設です。日本でも複数の方が紹介されているので、ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。私自身は、コロナ禍の前からいくつかの国で認知症村を訪問したり、建設予定の土地で話を伺ったりすることがありました。
認知症村とは、簡単に申しますと、認知症の人びとが人間らしく尊厳をもって暮らすために、当人を医療・介護だけでなく、人間らしい暮らしを含めた生活全般の面において、総合的に配慮を施した高齢者用の入所施設のことを指します。2009年にオランダ・アムステルダム郊外に最初の認知症村が創設され、その後高齢化の進む複数国でも認知症村の創設が進み、今日まで運営されています。それぞれの認知症村では、開発者の専門性、経営理念や経営方針により細部は微妙に異なりますが、入所している認知症の人ができる限り通常の社会的な生活を維持しながら暮らせるように、「認知症とともに生きる普通の人間」として扱われるためのさまざまな工夫がみられます。
本日ご紹介するオランダの認知症村では、私が訪問した2019年時点での入所者は約170名、スタッフも約170名おり、入所者は6-7名ごとに、趣味・文化的背景・思考等の考え方が似通った人同士で一つのグループを構成し、“村内”にある同じアパート内に居住しています。敷地内には、医師・看護師・理学療法士・作業療法士等が私服で常駐しており、緊急時はすぐ対応できるようになっていて、看取りも行える体制が整っています。入所者は入口で出入りを管理されているため、“村外”に自由に出ることはできませんが、“村内”であれば、何時であっても移動は自由です。食事の時間や場所、誰ととるのかも入所者自身が決めることができます。
地域の人も、施設内のレストランやスーパーマーケット、劇場、理容・美容院、その他店舗、広場などを利用できるため、多様な人びとが往来しており、実際の地域に暮らし続けているような感覚を持ちながら暮らすことが可能です(私が訪問した際も、小学生が学校帰りに立ち寄って、施設内の店舗周辺を歩いていました)。クラブ活動も盛んであり、コーディネーターによる調整・運営のもと、趣味や関心によって、入所者はさまざまなクラブに参加が可能です。また、認知症村の何より素晴らしい点は、入所者に(施設敷地内の)屋外に出る自由があり、日中、太陽の光を存分に浴びられることです。施設内の建築も、建築家の協力を得て、意図的に自然光を多く取り入れるような設計となっています。
施設を見学後、私は開発者のお一人からお話を伺いました。その際、この認知症村に入所している高齢者の人は、平均2年半で亡くなる重度の認知症者であることを知ることになります。確かに多くの人が車椅子に乗って移動されていました。しかし、広場で日光浴をしたり、仲間とチェスを楽しんだり、親しい人とテレビを見ていたり、レストランで食事をしていたり、お店で買い物をしていたり…思い思いの行動をされている入所者さまの表情がおだやかで、生き生きと輝いておられたのです。医学的にみると、確かにかれらの余生は限られているのかもしれませんが、そこでは「認知症とともに生きる普通の人間」として、堂々と、ごく自然に存在していたのです。認知症の人の心にも、一日の中で色々な感情が波のようにめぐってきます。
悲しいこと、嬉しいこと、不安に思うこと、驚くこと…そうしたさまざまな感情が自然に表情に表れていました。私のような、外国からの見知らぬ客が訪れても、レストランのドアを代わりに開けてくださる親切な入所者さま、向こうから先に挨拶をしてくださる入所者さまもいらっしゃいました。もちろん、不安そうにおびえている人もお一人拝見しましたが、そうすると職員の方がすぐさま近づいて行き、温かく声を掛け、手を握り、不安な思いを聞いてあげていました。死の二日前まで仲間とトランプをしていた人もいるそうです。
そこで目にした光景は、帰国してから数年たった今でも、ずっと心に残っています。そして、同じような表情の認知症の人びとを、その他の国の認知症村でも拝見する機会がありました。症状が進行したから表情が乏しくなるわけではないのだ…、それはそう思わされているだけで、周囲の人がそうなるように接するから、本人は心を閉ざしてしまい、そう見えてしまっているだけではないか。当人の感情は失われておらず、それを自由に表出していい環境が用意されれば、最期まで人間らしい表情を保てるのではないか。日本でもそれをどのようにしたら実現できるだろうか。
学術的な詳しい解説は別の機会に譲るとして、あの時の衝撃が、今回の絵本制作にも間接的につながっているような気がしています。
以下は、オランダの認知症村における実際の写真です。自身で撮影したものではなく、施設で撮影された写真掲載可能なデータについて、許可を得て取得したものを掲載しています。
寄附受入情報
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- 徳島大学
本プロジェクトに寄付をしていただいた方には、国立大学法人徳島大学から寄付の領収書をお送り致します。国立大学法人への寄付になりますので、確定申告の際に領収書を提出することで税の優遇措置を受けることができます。大切に保管下さい。詳細は本文の「国立大学法人徳島大学への寄付と税制について」をご参照ください。また、このプロジェクトはクレジットカード決済以外に振込によるご寄付も受け付けています。詳細は本文の「振込によるご寄付について」をご参照ください。
このプロジェクトはオールイン型ですので、目標金額の達成状況によらず支援が実施されます。
絵本1冊コース
ご支援いただいた方へ、出版後、絵本1冊をお送りします。絵本の出版は、2025年中を予定しており、出版社から直接送付させていただきます。複数冊を希望される方は、複数口数でお申込みください。
リターン内容
- 絵本1冊
- お礼のメール
あなただけのお名前入り絵本1冊コース(おススメ!)
ご支援いただいた方へ、奥付にあなただけのお名前を、著者名、絵本作家名の後に印字させていただいた絵本を、出版後に1冊お送りします。クラウドファンディング期間だけの特別サービスになります。
記載例:著者名、絵本作家名、「ご支援者:○○ ○○様」(他の支援者名は入りません)
絵本の出版は、2025年中を予定しており、出版社から直接送付させていただきます。
リターン内容
- あなただけのお名前入り絵本1冊
- お礼のメール
あなただけのお名前入り絵本5冊コース(おススメ!)
ご支援いただいた方へ、奥付にあなただけのお名前を、著者名、絵本作家名の後に印字させていただいた絵本を、出版後に5冊お送りします。クラウドファンディング期間だけの特別サービスになります。
記載例:著者名、絵本作家名、ご支援者名:〇〇 〇〇様(他の支援者名は入りません)
印字の不要な方は、その旨を備考欄にお書き添えください。絵本の出版は、2025年中を予定しており、出版社から直接送付させていただきます。
リターン内容
- あなただけのお名前入り絵本5冊(希望者のみ)
- お礼のメール
著者による絵本読み聞かせ・児童向け啓発事業の相談対応等の開催権付与コース
ご支援いただいた方へ、著者自身の絵本読み聞かせ及び児童向け意識啓発活動もしくは相談会(約1時間程度)の開催権を付与します。詳細については、プロジェクト終了後、相談に応じます。※但し、対象者を10名以上と場所を支援者側でご準備いただけることに加え、(徳島県以外の方は)交通費・(必要な場合)宿泊費・会場借用費を支援者自身でご負担いただくことが前提となります。絵本の送付は別となりますので、絵本も希望される方は別のコースも同時にお申し込みください。
リターン内容
- 著者による絵本読み聞かせ・児童向け啓発事業の相談対応等の開催権付与
- お礼のメール
著者による出張講演・セミナー・ワークショップ等の開催権付与コース(社会人向け)
ご支援いただいた方へ、著者による出張講演・セミナー・ワークショップ等(約2時間程度)の開催権を付与します。詳細については、プロジェクト終了後、相談に応じます。※但し、徳島大学以外で開催を希望される場合、対象者を10名以上と場所を支援者側でご準備いただけることに加え、(徳島県以外の方は)交通費・(必要な場合)宿泊費・会場借用費を支援者自身でご負担いただくことが前提となります。絵本の送付は別となりますので、絵本も希望される方は別のコースも同時にお申し込みください。
リターン内容
- 著者による出張講演・セミナー・ワークショップ等の開催権付与
- お礼のメール
応援30万円コース
本プロジェクトを応援していただきます。(希望者には絵本30冊まで、ご希望に応じて送付しますので、備考欄に希望冊数をお書きください。また、希望される方には、奥付に支援者名を印字させていただきますので、併せてお書き添えください。)絵本の出版は、2025年中を予定しており、出版社から直接送付させていただきます。
リターン内容
- 応援30万円コース
- 出版後に絵本30冊まで
- 希望者には絵本奥付にお名前印字
- お礼のメール
応援50万円コース
本プロジェクトを応援していただきます。(希望者には絵本50冊まで、ご希望に応じて送付しますので、備考欄に希望冊数をお書きください。また、希望される方には、奥付に支援者名を印字させていただきますので、併せてお書き添えください。)絵本の出版は、2025年中を予定しており、出版社から直接送付させていただきます。
リターン内容
- 応援50万円コース
- 出版後に絵本50冊まで
- 希望者には絵本奥付にお名前印字
- お礼のメール