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徳島大学理工学部 社会基盤デザインコース

河口 洋一

総サポーター数:0人

累計支援額:0円

研究内容

生態系サービスを活用し、サステイナブルな地域づくりへ挑戦


徳島大学大学院社会産業理工学研究部 社会基盤デザインコースの河口洋一と申します。

生態系サービスを活用する、持続可能な地域づくりに関する研究を徳島県内外で行っています。

人口減少はこれからの地域の持続性における最も大きな課題です。人口減少を止めることはできませんが、その減少を緩やかにするために、地域の優れた自然資源を活用した地域づくりにシフトしていく社会に進むべきと考えています。

生態系サービスという言葉は多くの方にはあまりなじみがないかもしれません。しかし、私たちの暮らしは、食料や水の供給、気候の安定など、生物多様性つまり自然から得られる恵みによって支えられています。これらの恵みを「生態系サービス」と呼んでいます。

生態系サービスの恵は、人間の福利に貢献していて、たくさんの生きものに支えられています。

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研究について

私は、鳴門市に定着したコウノトリのペアが利用する環境や餌生物、コウノトリの飛来によって動き出した新たな地域づくりについて研究を進めています。徳島県鳴門市は、兵庫県の豊岡市周辺を除いてコウノトリが初めて繁殖した場所です。

鳴門市は、コウノトリが飛来するために何かを行ってきた訳ではありません。コウノトリが自らレンコン田に舞い降り、餌をたべ、そしてペアが形成され繁殖し、雛が誕生しました。

なぜ、コウノトリは鳴門市に飛来して定着したのか、このことを紐解くことで、レンコン田やその周辺がもつ生態系サービスが注目されるようになりました。 

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これまでに、コウノトリが飛来した位置情報をコウノトリの郷公園(兵庫県立大学)と協力しデーターを取り、四国や中国地方におけるコウノトリの生息適地の解析を行いました。それをもとに徳島県内そして四国内におけるコウノトリが生息できるポテンシャルの地図化を行いました。

この地図化から、コウノトリが飛来した地点とその周辺の農地や森林面積、標高などの環境情報を地理情報システムから抽出して解析しています。

この地図により鳴門市以外にもコウノトリが飛来する可能性が高い場所を事前に知ることができます。今後、環境に配慮した農業を進めている地域でコウノトリの生息適地のポテンシャルが高く、地域でコウノトリを受け入れる準備があるなら、現地でどういうことを行うべきか具体的な提案も可能になります。

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研究協体制

コウノトリが飛来してきたことで「コウノトリが舞う笑顔輝く未来に」を目指し、2019年8月に特定非営利活動法人とくしまコウノトリ基金が設立されました。私は、河川生態学の専門家としてとくしまコウノトリ基金の設立から関わり、現在理事を務めています。

行政、農業団体、大学、野鳥関係団体などで構成するNPO法人とくしまコウノトリ基金は、コウノトリをはじめとする希少鳥類の保護と、豊かな自然を活かした地域農業や地域経済の活性化を目的としています。また、この活動は、国連が提唱している「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成を目指します。

  • コウノトリ野生復帰の実現
  • 農業や経済活動の活性化
  • 環境教育・啓発 
  • 環境・産業・文化の情報発信

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研究の先には

地球の環境とそれを支える生物多様性は、人を含む多様な生命の長い歴史の中でつくられたかけがえのないものです。この生態系サービスからの恵みを現在もそして、次世代へも共存・共栄していくために必要なことがあります。

例えば、徳島県では、行政の旧吉野川の治水対策の事業として、河道の一部を切り下げ、洪水時の水を流すための検討をしています。しかし、それに加え、河道を切り下げるとともに湿地をつくり、氾濫原を利用する様々な生き物を再生する自然再生事業の検討が進められています。再生する湿地では、多くの生き物が育まれ、コウノトリの餌場として機能することも目的となっています。

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更に、NPOコウノトリ基金では、鳴門市に広がっている耕作放棄地をビオトープにする事業を進めています。耕作放棄地も人口減少と同じぐらい重要な課題ですが、その対策は進んでいません。現在、コウノトリは1ペアだけで、レンコンの葉が生い茂る夏季には、コウノトリも餌とりに苦労しています。新たなペアの誕生そして夏場の餌場づくりにおいて、ビオトープによる餌場づくりはとても重要です。

このような取り組みは、コウノトリが定着したことで初めて動き出したことです。いいかえれば、コウノトリが吉野川下流にひろがる湿地環境のポテンシャル(豊かな生態系サービス)を気付かせてくれたと言っても過言ではありません。

さらに、コウノトリが利用する農地を見て知るだけでなく、その周辺の歴史や文化をたずねるエコツアーも動き出しました。

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研究を進めるために

生態系サービスを活用したサステイナブルな地域づくりへの挑戦には、官学産といった多くの人々の協力や理解が必要です。生物多様性つまり自然は、その場所、場所で人の営みの中で継続して育てていくものです。

私の使命は、生態系サービスを活用したサステイナブルな地域づくりのために必要な根拠を少しずつでも学術的に証明していきたいと考えています。私が研究する対象は、自然です。根拠を示していくには、時間や人が必要です。幸せなとこに、鳴門市にはコウノトリが定着した環境があります。

例えば、水田でのコウノトリの餌について調べる場合、比較する水田は条件を揃えることも必要です。自然の環境下で簡単ではないですが学術的根拠を調べるためにデーターを取っていく必要があります。

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メッセージ

徳島には何もないと若い人はいいますが、徳島には優れた自然があり、そして人々は上手に利用してきました。レンコンだけでなく藍もその1つでしょう。耕作放棄や人口減少という課題にいち早く対応するためにも、豊かな生態系サービスの活用と地域づくりをすり合わせる手法の確立が重要と考えています。

どうぞよろしくお願いいたします。

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