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徳島大学医学部生体防御医学

安友 康二

総サポーター数:1人

研究内容

希少な遺伝性炎症疾患の原因を突きとめたい!

驚いたのは、ほとんどの病気の原因はわかっていないということでした。

私の主な研究対象は、希少な遺伝性の炎症性あるいは免疫疾患です。
この病気の特徴は、原因が「この分子が異常だから」というように確実に決まっていることです。

がん、糖尿病あるいは関節リウマチといった病気は実は原因はほとんどわかっていません。
感染が原因かもしれないし、ストレスが原因かもしれません。
おそらくその原因は、人によって様々だったりするので、病気になるメカニズムや原理原則といったところは、大半の場合には本当の意味では明らかになっていません。

これを医学部の学生時代に初めて知ったときは、もっと医学は進歩していると思っていたので、ある意味驚きました。
それに対して、遺伝性疾患は原理原則をはっきり断定することができます。
つまり、病気の原因である遺伝子の変化と、起こっている症状について原因と結果の関係で結びつけることができます。

自分の「わからないものを見つけたい」という根底にある思いと、原因と結果をはっきりとさせたいという思いが、希少な遺伝性の炎症疾患を研究対象に選んだ理由です。
また、私は小児科医でもありますので、小児疾患の原因をつきとめて、その根本的な治療法を見出したいという思いも強いです。

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自己紹介

高校生の頃から漠然と数理系の分野の研究者になりたいと思っていました。
私達が高校のときは、センター試験ではなく、共通一次試験という名前で行われていた時代です。

その進路の対象が医学分野に変わった理由の一つは、当時私のいた高校で日本史を担当していた考古学の女性の先生にすすめられたことがあげられます。
今はどう活躍しているのか存じ上げないのですが、その先生はとても行動力がありました。
高校の教員をしながらも、いろんなところに発掘に出かけて研究しているような先生で、その研究内容はほとんど覚えていませんが、研究にかける姿勢はおぼろげながらですが、すばらしいと思っていました。

あるとき先生から、医学部でも研究が行われているということを教えていただきました。
恥ずかしながら、そのときまで医者が医学の基礎研究を行っていることを知りませんでした。
その時から医学の研究もおもしろそうでやりがいがあるのかもしれないと思い始め、悩んだ末、大学の医学部の道に進むことを決めました。

医学を学びアメリカへ留学

大学で医学を学び、3年間小児科医として働き、小児科の大学院で4年間学びました。医学博士をとった直後から、アメリカに3年間妻と子どもを連れて留学に行きました。
留学先は、メリーランド州にある、とても有名なラボです。
研究室があったメリーランド州のベセスダは、アメリカで平均年収が一番高く、治安もいい町でした。そこでいい研究結果を出してやるぞと意気込んでいました。

しかし、留学1年目は研究がうまくいかなくて、あせっていたことを覚えています。
私の研究してきた期間の中で、はじめて味わった苦しい時期でした。

研究に没頭する日々

留学先のボスはとても厳しい人でしたが、関係性はすごく良好でした。
優秀な研究者が世界中から集まっており、そこで結果が出せないなんて、研究者としてどうなんだと思ってしまうほどでした。

しかし、まったく結果を出せない。

そのときにどうしたかというと、とにかくひたすらに研究に没頭しました。
そうした日々が続き、2年目の途中で、ある人が実験に有用だと思われる特殊なマウスを持っていることを知りました。
ボスと相談し、そのマウスを導入したのですが、そこから私の研究をぐっと前に進めることができました。
そこには、1年間ひたすら研究してきたときに自分が開発した研究手法が役に立ったところもありました。

最終的には自分の問いに対して答えることができる研究結果を発表することができ、忘れられない3年間だったといえると思います。
後になって思い返してみると、1年目に苦労して、とにかく研究に没頭してよかったと感じています。
また、海外留学は家族にとっても思い出深い3年間でした。アメリカでは二人目の子どもが生まれました。

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研究について

研究対象

例えば高血圧の方は世界で何千万人もいます。ではその原因を見つけようとしたら、皆同じ原因ではありません。
肥満の人、血圧高い家系の人、ストレスがかかっている人など、理由は様々であると考えられます。
じゃあ共通する原因を見つけようとしてもなかなか見つけるのは難しいです。
この人は4つ5つの原因があった。でも、別の人は他の4つ5つの原因があったということも起こります。

私の研究の対象は、炎症とか免疫の異常な応答が関係する難病で、そのような難病の原因を見つけたいというのが研究の目的です。
そのような難病の中でも、希少な遺伝性炎症疾患を対象としているのですが、なぜそこをやっているかといいますと、原因となる遺伝子の異常と、その結果おこる病気について原因と結果がはっきりしているからです。
この遺伝子、この分子だけが、通常の場合と異なるという風に分かれば、原因はひとつしかない。非常にクリアです。

高校生の頃から、わからないところを解明したい、根本的なところを知りたいという気持ちから、研究者の道を目指していました。
ですから、病気の原因が、「これ」と断定できる遺伝性疾患の研究は、非常にクリアであり、またそのようなクリアな研究こそが複雑な人の病気を解明するために必要であると考えていて、この遺伝性疾患の分野の研究を進めていきたいと思いました。

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研究のイメージ

研究の具体的な内容は、まずはおよそ30億もある、DNAの塩基配列の中からひとつの異常を探し出すようなイメージです。
遺伝性の病気なので、簡単に原因がわかるのではないかと思われるかもしれませんが、そうではありません。

例えば、二人の遺伝子を比較しても、30億の中には、二人の間にはもともとの違いを含め、何十万も違いがあります。
その中から、ひとつの病気に関わる違いを見つけるようなものなのですので、その困難さが分かってもらえると思います。

また、遺伝性疾患はとても希少な疾患なので、全国を探しても、何百人もいるかといったらそうではありません。
研究に協力していただける方を探すのも難しいところがあります。

薬の製作について

薬を作る作業は、別の分野ですが、これからは、病気の治療の方にもフォーカスしていきたいと思っています。
製薬企業は基本的に、たくさんの人が罹患している病気の治療薬を作りたいと思っています。
それはある側面では当然のことだと思います。

私の研究対象は希少疾患です。世界で50人ほどしかいない疾患に対する薬を作るのは、開発費用に対する利益を考えますと、製薬企業にとっては手を出していただきにくいというのも理解できます。

しかし、このような稀少な遺伝性疾患の研究の効果はそんな限定的なものかといわれれば、そうではありません。
遺伝性疾患では、特定の遺伝子の異常で病気がおこるわけですが、その病気が起こる過程は遺伝性ではない病気とも共通しているところが多いですから、遺伝性疾患に対する薬の開発は遺伝性でない病気などに対しても大きな波及的な効果も期待できます。
病気を直すことに取り組むということでは、罹患者数が多い少ないということは関係ありません。
ただ、費用のことは避けては通れないことですので、稀少な難病の方を救うためにその部分をなんとか克服できればと思っています。

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研究には時間がかかる!

例えば遺伝的な炎症の研究と考えた場合、変異の調査に1,2年の時間がかかることがあります。
それから、変異があったら、本当に炎症が起こるのかという検証を、人の細胞とかマウスを使って行います。
マウスは3週間ほどの妊娠期間で、7週間で大人になりますので、実験動物として、非常にコントロールしやすく、早く検証を行えるわけですが、それでも検証を終えるには3~4年の時間がかかります。
それから、薬をつくるとなると、さらに時間を要することになります。

最後に

基本的には、毎日毎日検証しては、うまく成功することの方が少ないです。
でも、何年かに1回ある瞬間ですが、これまでわからなかった病気の原因遺伝子を見出したり、マウスでその病気が再現できたり、という時は非常に心臓が高鳴る瞬間です。
高校の頃から全く変わっていない、「わからないことを明らかにしたい」という思いを根底に持っているので、これからもその思いで研究を続けて生きたいと思っています。

小児科医として、小児難病の原因を見つけて根本的な治療法を開発することで、病気で苦しんでいる子ども達を一人でも助けることができたらと思っています。

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