はじめまして、阿南工業高等専門学校副校長の松本高志です。
私たち本校の教職員は、「何を学んだか」ではなく、「何を身につけたか」を重視し、学生たちが真理、創造、礼節の校訓を持ち、未来に向けて果敢に歩み続けられるようサポートしています。
科学技術と地域社会への貢献を重視する教育機関として、学生が実践的な学習を通じて社会に貢献し、STEAM分野における多様性と包括性を推進するための設備や環境を整えるための資金の一部をクラウドファンディングでご支援いただきたいと考えております。
クラウドファンディングについて
阿南高専は、文部科学省「大学・高専機能強化支援事業(高度情報専門人材の確保に向けた機能強化に係る支援)」に採択されました。
「専門分野において情報技術を駆使し、課題解決ができる人材の育成」を目的とし、令和7年度から既存の情報コースに加え、機械・電気・建設・化学の全コースに新たな情報プログラムを設置し、高度情報専門人材の育成に取り組みます。
この事業を契機に、地域や地元企業との連携を一層強化し、先進的かつ実践的な高度情報教育を提供することを目指します。
その実現のために、学生が学年やコースに関係なく、自由に利用できる交流の場を作ることを計画しています。
その交流の場を阿南高専の学生だけでなく地域の方々や企業の方にも気軽に利用していただけるよう開放し、学生たちが学びを深められる場所にしたいと考えています。
そのために必要な設備や活動費の一部をクラウドファンディングで集めたいと考えています。
今後も、阿南高専が地域社会や産業界と連携し、未来への道を切り拓いていくために、皆さまのご支援とご協力を心よりお願い申し上げます。
阿南高専の今
阿南工業高等専門学校は、1963年に国立高等教育機関として創立され、その後も工学への情熱を持つ若者たちを育てる使命を全うしてまいりました。
当校では、5年間の一貫教育を通じて実践的で創造的なエンジニアを育成し、彼らが社会で活躍するための基盤を築いています。
本校の教育プログラムは、学生が技術の基礎を学びながらも、自らの可能性を追求し、未知の領域に挑戦できるように構築されています。
また、最新のIT技術を活用し、教育環境を提供するとともに、地域との連携を深め、社会に貢献する人材の育成に努めています。
これまで、8,000名余りの卒業生は、産業界を中心として地方公共団体や教育機関など幅広い分野で活躍しています。
阿南高専では「eスポーツ研究会」が2018年に発足し、全国大会への出場や地域でのeスポーツイベントの企画や運営を行っています。
電気コースでは、学生が模擬会社を設立し運営を行う電気技術イノベーション実習という授業が行われています。その授業内の模擬会社においてもeスポーツ関連事業を扱っているグループがあり、eスポーツなど先進的な事柄を積極的に取り入れた授業実践を行っています。
また、「AST倶楽部」という、阿南高専科学技術振興会(AST)内に設けられた、企業と学生・教職員が連携して取り組む研究ユニットがあります。
この倶楽部では、企業や団体などが地域の様々な課題を阿南高専に持ち込み、学生や教職員との協力のもと、解決に取り組んでいます。
学生の取り組み事例
AST倶楽部の具体的な活動を2件紹介します。
高専4年生 電気コースの宇津 和奏(うつ わかな)さんは、課外活動でAST倶楽部のLEDイルミネーション部門で活動しています。
この活動は、地域の方々と協力してLEDを用いたイルミネーションオブジェの開発や設置を行っています。
オブジェは高さ2mほどのドームやツリーにLEDを装飾して作製しており、それらを組み合わせて校内のフェニックス広場や徳島県石井町の石井ウインターイルミネーション、阿南市の恋人たちの聖地、高知県東洋町、福島県豊岡町、東京都渋谷区など多数の場所で設置してきました。
県内外のいろんなイルミネーションイベントを見学して表現方法や設置方法の工夫を続けています。
また、学生が講師となって地元の小学生を対象としてLEDランプの工作体験を定期的に開催しています。
この活動では、小学生の子どもたちに実際に手を動かし体験してもらうことで科学の不思議や面白さを伝えています。
普段の授業とは異なり教える立場になることで、新たな気づきやモチベーション向上に繋がっています。
高専3年建設コースの野村 芽以(のむら めい)さんは、建築を学んでいる高校生が参加する建築甲子園徳島大会(2023年10月)に参加しました。
同じ建設コースの仲間と3名のチームを結成して「Archi Night~あきない~」という作品を発表しました。
これは、鳴門市大道商店街を対象に、高齢化や跡継ぎ不足による商いの衰退という課題に対するアイデアを考えたもので、現地調査および地域の方々へヒアリングを繰り返し行い、1階の商店と2階の住宅を逆転させるというアイディアを提案しました。
高齢者にとって暮らしやすい住宅とにぎわい広場を1階のレベルに設け、2階には新しい道と商店を設けることで、全体がつながっていくような職住近接の街をデザインしたことが高く評価され最優秀賞を受賞しました。
野村さんは「夏休み期間にメンバーとともに調査や話し合いを何度も繰り返し行ったり、先輩からアドバイスをいただいたり、実践を伴った建築の勉強を集中的に行えたことで、自身の成長を実感することができた」と話します。
宇津さん、野村さんは、阿南高専の好きなところは、「何かしたいとき、挑戦したいときに、それが可能なところ」だといいます。
学校にはやってみたい種がたくさんあり、その気持ちになったときには、実際に行動を起こすことを応援してくれる空気感があるといいます。
阿南高専は今年60周年を迎えました。
現在は、女子学生の割合は1/4くらいになりましたが、それでも多いとはいえません。
女子学生が少ないので、女子トイレが各階にない建物があったり、手洗い場に鏡がある場所が少なかったり、更衣室が全学で1か所のみであるなど、日常の生活に少し不便を感じています。
学生が自習をする場所と自由に話してよい場所が同じであることから、どうしても勉強をしている同級生や先輩がいれば、その同じ空間で活発な話をすることに遠慮してしまうこともあります。
学年や専門コースの垣根なく集える場所があればいいなと感じていると話してくれました。
新しい高度情報センター設立
阿南高専では、情報技術を駆使し専門分野において課題解決ができる人材を育成することを第一の目標とし、学生が学んだことをものづくりに繋げていける場所として高度情報センターを学内に建設します。
産業界、特にモノづくりの現場はこれまで男性主体が一般的でした。しかし、現在では、多様な工業製品が市場に出回る中、消費者に好まれる製品を生み出すためには、男性だけでなく女性の感性も重要視されるようになってきました。
女子学生の増加に合わせて学校が適切な環境を整えていくことや、学生と地域の皆さまが集う場所を提供することを実現したいと思います。
男子も女子も含めて若い世代の学生たちがここ阿南高専で学び巣立っていくために、教職員一丸となり努力していきます。
寄付金の使途について
今回のクラウドファンディングでは、目標金額300万円の寄付を募集します。
皆様からのご寄付は、下記の用途のために大切に活用させていただきます。
1.地域に開かれた交流スペースの整備(新設する高度情報教育センター棟内)
2.地域や企業との交流イベント開催に係る設備や運営のための費用
3.学生活動支援(試作のための物品購入など)
皆さま、阿南高専は「ものづくり」と「AI情報技術」を通じて、新たな時代の扉を開くことを約束します。学生たちと共に歩み、目標や夢に寄り添いながら、成長していきたいと考えています。
阿南高専の学生は、未来を切り拓くリーダーとしてこれからの時代に活躍してくれると信じています。
私たちの未来を支える一翼を担うために、皆様の温かい応援を心よりお待ちしています。
挑戦者の自己紹介
松本 高志
所属:阿南工業高等専門学校
役職:副校長
創造技術工学科 電気コース教授
専門は、環境電磁工学。博士(工学)。
民間企業、コロラド大学客員研究員等を経て、現職。
電磁波の生体影響、電磁波を利用した地震予測、工学教育に関する研究に従事。
snow_ngc2237さん
学生の皆様が良い環境で学べますよう、ほんの少しですがお手伝いできる喜びを感じております。
阿南高専で、しっかりと "人への優しさ・知識・技術"を身につけ卒業後は得意分野で活躍していただきたいです。