支援金の使途につきまして

お久しぶりです。徳島大学の森田明典です。

今回は、ご支援賜りました支援金の大半を活用して本研究室に導入した遺伝子改変マウス（https://www.jax.org/strain/008875）について紹介いたします。

腸上皮の幹細胞は、英語では“crypt（クリプト）”とよばれる、腸絨毛基部の「陰窩」に存在しています。我々の目指す放射線防護剤は、この「幹細胞」を効果的に護る防護剤になりますが、照射マウスに候補化合物を投与し、腸管の組織標本の陰窩数を数えるだけでは、幹細胞の盛衰を正確に評価しがたい場合があります。今回、米国ジャクソン研究所より輸入、クリーン化して導入されたマウスは、腸上皮の幹細胞のマーカー分子であるLgr5の幹細胞特異的な遺伝子発現調節部位（プロモーター）の下流に、緑色蛍光タンパク質GFPの遺伝子を挿入した「ノックインマウス」とよばれるマウスです。

GFPは2008年にノーベル化学賞を受賞された下村脩先生が発見した蛍光タンパク質で、今やタンパク質や細胞の動態解析に欠かせない研究ツールとなりました。このマウスを用いることにより、腸上皮の幹細胞の動態について、これまでよりも効率的に腸上皮の損傷・再生過程の解析を進めることが可能となります。

今後も活動報告等を通じて私たちの研究活動を皆様にお知らせいたします。引き続きよろしくお願い申し上げます。