
p53制御剤について〜その2
徳島大学の森田明典です。
本日は広島原爆の日です。原爆投下から75年が経ちました。原子爆弾によって亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げると共に、当時の惨禍を忘れず、放射線障害のリスクをできるだけ低減するという研究に励むことを生涯の誓いといたします。
振り返ると、小学生の時に読んだ中沢啓治氏の実体験に基づいて描かれた「はだしのゲン」が放射線医学研究に取り組むきっかけでした。作中では、ゲンの家族や広島で暮らす方々が原爆症で苦しむ姿が描かれており、「ヒトはなぜこんなにも放射線に弱いのだろう? 人類の英知でこの苦しみを少しでも克服することができないのだろうか?」と思ったことが私の研究の原点になると思います。
私の前任校は広島大学です。広島大学では原爆放射線医科学研究所で助教として研究する機会を現・東北大学医学部教授の細井義夫先生からいただき、本研究を発展させることができました。当時や現在、ご支援とご協力をいただきました諸先生方にあらためて御礼申し上げます。
急性放射線症においては、造血幹細胞や腸上皮幹細胞などの細胞再生系が非常に高い放射線感受性を示します。我々は2010年に多様な生理活性を有するオルトバナジン酸ナトリウム(バナデート)が強力なp53阻害作用を有しており、これをマウスに投与すると、造血器に致死的な障害をもたらす8グレイを被ばくしても100%生存することを発見しました(Cancer Research 70, 257-265, 2010)。
このバナデートは、原子力災害等の全身被ばく状況下で有効な放射線防護剤として機能します。しかしながら、医療現場において大線量の放射線が人体に当てられる場合は、一部のがんを除いて全身ではなく、ほとんどの場合、固形がんなどに対する局所照射となります。特に、メスをいれにくい、温存したい等の理由から、頭頸部がん、乳がん、骨盤内の子宮頸がん、前立腺がん等は、放射線治療の強みである「切らずに治す」メリットが発揮される対象となります。こういったがんの放射線治療では、唾液腺や肺、腸管など、「リスク臓器」とよばれる放射線感受性組織にできるだけ放射線を当てない工夫が必要です。
その工夫は強度変調放射線治療(IMRT)という新しい照射方法によって完成しつつありますが、物理的に「当て方」を工夫するだけでは、前述のリスク臓器ががんと接する場合などはリスク臓器に放射線が当たることを完全に避けることはできません。「リスク臓器」を護るための「放射線防護剤」が今、求められています。本研究に対するご支援をよろしくお願いいたします。
寄附受入情報
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- 徳島大学
本プロジェクトに寄付をしていただいた方には、徳島大学から寄付の受領書をお送り致します。国立大学への寄付になりますので、確定申告の際に受領書を提出することで税の優遇措置を受けることができます。大切に保管下さい。詳細は本文の「徳島大学への寄付と税制について」をご参照ください。また、このプロジェクトはクレジットカード決済以外に振込によるご寄付も受け付けています。詳細は本文の「振込によるご寄付について」をご参照ください。
このプロジェクトはオールイン型ですので、目標金額の達成状況によらず支援が実施されます。
お礼メール
感謝の心を込めて、お礼の手紙を電子メールにて送付させていただきます。
リターン内容
- お礼のメール
活動報告
支援していただいた方には、プロジェクトの研究活動などをレポートにまとめて、活動報告書としてお送り致します。
リターン内容
- お礼のメール
- 活動報告書の送付
- 森田先生ゆかりのマルベリーから作ったジャム(1本)
<オススメ>サイエンスカフェ
サイエンスカフェを開催し、医用理工学分野の現状やワークショップなどを通して、放射線とがん治療のことを学んで頂きます。プロジェクトの成果報告などについてもお話します。徳島大学蔵本キャンパスでサイエンスカフェを開催します。
リターン内容
- お礼のメール
- 活動報告書の送付
- 森田先生ゆかりのマルベリーから作ったジャム(2本)
- サイエンスカフェ参加権
プロジェクト成果の論文送付
支援していただいた方に、プロジェクトの成果論文を送付させていただきます。
リターン内容
- お礼のメール
- 活動報告書の送付
- 森田先生ゆかりのマルベリーから作ったジャム(4本)
- サイエンスカフェ参加権
- プロジェクトの成果論文の送付
アウトリーチ資料へのお名前掲載
学会資料・講演会などの資料やプレゼン時に謝辞としてお名前掲載させていただきます。(掲載を希望されない方は、寄付申込フォームにてご連絡ください。)
リターン内容
- お礼のメール
- 活動報告書の送付
- 森田先生ゆかりのマルベリーから作ったジャム(4本)
- サイエンスカフェ参加権
- プロジェクトの成果論文の送付
- アウトリーチ資料へのお名前掲載
プロジェクト応援
ご支援いただいた方への返礼の品はお礼のメールとジャムのみです。
全額をプロジェクト推進のために活用させて頂きます。
リターン内容
- お礼のメール
- 森田先生ゆかりのマルベリーから作ったジャム(4本)
サイエンスカフェのスポンサー
私たちの活動サポートして下さる方を募集します。
サイエンスカフェを開催する会場にお名前または企業ロゴを掲示します。(掲載ご希望されない方は、寄付申込フォームにてご連絡ください。)
リターン内容
- お礼のメール
- 活動報告書の送付
- 森田先生ゆかりのマルベリーから作ったジャム(4本)
- サイエンスカフェ参加権
- プロジェクトの成果論文の送付
- アウトリーチ資料へのお名前掲載
- スポンサーとして会場などにロゴ掲示