論文出版:低周波治療器を用いた筋萎縮の予防
徳島大学病院救急集中治療部 中西先生の最新論文の報告です。
筋萎縮ゼロプロジェクトの応援ありがとうございます。
重症患者さんの筋萎縮予防に関する研究を米国集中治療医学会雑誌「Critical Care Medicine」から出版しました。
https://journals.lww.com/ccmjournal/Abstract/9000/Effect_of_Electrical_Muscle_Stimulation_on_Upper.95559.aspx?sessionEnd=true
この研究では低周波治療器(Electrical muscle stimulation: EMS)を用いて筋萎縮が予防可能か研究しました。実は以前からICUに入室する重症患者さんに低周波治療器が筋萎縮の予防に有効かもしれないとはいわれてきました。自分で運動できる方とは異なり、重症な患者さんはベッド上から動くことができません。
そのため低周波治療器で四肢を動かすことが筋萎縮を予防するという報告は以前からありました。しかし、筋萎縮は予防するが、身体機能や入院期間などは変わらないという結果でした。
この結果に対して、僕達は足にのみ低周波治療器を用いているのが問題ではないかと考えました。自分達の以前の研究でICUに入室する重症患者さんは足のみでなく腕の筋肉も萎縮するということを報告しました。(Nakanishi, et al. Intensive Care Med. 2018 Feb;44(2):263-264.)
そこで足のみでなく腕にも低周波治療器を用いることで、腕の筋萎縮も予防して重症患者さんの予後を改善させると仮説を立てました。徳島大学と徳島県立中央病院のICUにおいて長期ICU入室となる可能性が高い重症な患者さんを対象に,低周波治療器(ソリウス、ミナト医科学株式会社)を入室1日目から5日目まで1日30分使用しました。
低周波治療器は全員に用いる治療法ではないため、使用する患者さんと使用しない患者さんを振り分けました。低周波治療器を使用しない患者さんでも従来のリハビリはいつもどおり行っております。
この研究はクラウドファンディング開始前の2017年7月から2020年1月まで行いました。約3年半の長い戦いとなりました。
結果です。42人の患者さんが対象となりました。低周波治療器を用いた患者さんでは下肢のみでなく、上肢の筋萎縮も予防できることも証明しました。残念ながら全く筋肉が萎縮しないわけではありませんが、低周波治療器を用いない群と比べて有意に筋肉の萎縮を抑えることができました。
そして足のみでなく腕にも低周波治療器を用いたということもあり、介入した患者さんにおいて入院期間が短くなりました(23日 vs. 40日, p =0.04)。
これはICU入室早期の積極的リハビリができない時期に腕の筋萎縮を防ぐことでスムーズにその後のリハビリに繋がったと考えております。リハビリは足のみでするわけではありません。ベッドから立ち上がったり、移動したりする時に腕の力を利用します。さらに腕は御飯を食べたり、様々なことをする時に非常に重要な役割を果たします。
今まで足にのみ低周波治療器を用いてきた研究では入院期間まで短縮しなかったのはこのためだと考察しました。
残念ながら実際に筋力を正確に評価できる患者さんは少なかったため、筋力や離床レベル(どれくらい動けるか)、ICU獲得筋力低下(ICU-AW)には差はありませんでしたが、今後の研究に繋げていければと考えております。
そして最後に興味深いことに、低周波治療器を用いた患者さんの方が蛋白の崩壊を抑制できることも発見しました。急性期の蛋白の崩壊を血中のアミノ酸の値で評価しました。すると低周波治療器を用いた患者さんの方が血中のアミノ酸の値が低いいという結果になりました。筋肉の崩壊に伴いアミノ酸が血中に生じますので、低周波治療器で筋肉の崩壊を抑制できている可能性があります。
このように、積極的に治療することで筋萎縮を予防できることが分かってきました。もちろん、筋萎縮ゼロはまだまだですが、少しずつ研究を進めていきたいと考えております。臨床、研究、教育と様々な角度から重症患者さんの社会復帰に貢献していきたいと考えております。これから様々な取り組みを行っていきます。
今後とも「筋萎縮ゼロプロジェクト」を宜しくお願い致します。
徳島大学 救急集中治療部
中西信人
寄附受入情報
本プロジェクトに寄付をしていただいた方には、徳島大学から寄付の受領書をお送り致します。国立大学への寄付になりますので、確定申告の際に受領書を提出することで税の優遇措置を受けることができます。大切に保管下さい。詳細は本文の「徳島大学への寄付と税制について」をご参照ください。また、このプロジェクトはクレジットカード決済以外に振込によるご寄付も受け付けています。詳細は本文の「振込によるご寄付について」をご参照ください。
このプロジェクトはオールイン型ですので、目標金額の達成状況によらず支援が実施されます。
<オススメ>救急集中治療部カフェ
救急集中治療部カフェを開催し、救急集中治療の現状やワークショップなど を通して、救急集中治療のことを学んで頂きます。プロジェクトの成果報告 などについて、徳島大学蔵本キャンパスでサイエンスカフェを開催します。
リターン内容
- お礼のメール
- 活動報告書の送付
- 活動報告書へのお名前掲載
- 救急集中治 療部カフェ参加権
活動報告へのお名前記載
ご支援いただいた方のお名前を、作成する活動報告書の上に掲載させて頂きます。
リターン内容
- お礼のメール
- お礼動画
- 活動報告書の送付
- 活動報告書へのお名前掲載
活動報告
支援していただいた方には、プロジェクトの研究活動などをレポートにまとめ て、活動報告書としてお送り致します。
リターン内容
- お礼のメール
- お礼動画
- 活動報告書の送付
お礼のメール
ご支援いただいた方へお礼のメールをお送り致します。
リターン内容
- お礼のメール
お礼動画
プロジェクト終了後、近況報告とお礼を動画で公開させていただきます。
リターン内容
- お礼のメール
- お礼動画
救急集中治療部カフェの スポンサー
私たちの活動サポートして下さる方を募集します。
救急集中治療部カフェを開催する会場にお名前または企業ロゴを掲示します。
リターン内容
- お礼のメール
- お礼動画
- 活動報告書の送付
- 活動報告書へのお名前掲載
- スポンサーとして会場などにロゴ掲示
プロジェクト応援
ご支援いただいた方への返礼の品はありません。
全額をプロジェクト推進のために活用させて頂きます。
リターン内容
- お礼のメール
- お礼動画