「大学へ行きたい」をあきらめさせない。 国立大学SS基金で意欲ある受験生の背中を押したい

こんにちは。アドミッション（大学入学者選抜）を専門に活動している大学教員、植野美彦と申します。そして私は、一般社団法人高大院接続支援機構（通称：オウガス）の設立メンバーとして、このプロジェクトの運営に携わっています。

（写真左から）
事務局長：小田威司（元国立大学総務部長）、設立時社員：植野美彦（大学教員）、
監事：藤原晃（公認会計士・税理士）

このクラウドファンディングでは、「国立大学で学びたい」という強い意志と能力を持ちながらも、経済的な事情から受験自体を断念してしまう――そんな受験生を支援するための基金、「国立大学SS基金」の立ち上げをめざしています。

■ なぜ、今このプロジェクトが必要なのか？

国立大学では今、「総合型選抜」や「学校推薦型選抜」など、学力試験だけでは測れない能力を評価する選抜方式が広がっています。下記の表は、文部科学省が集計・公開した各選抜区分毎の募集人員の推移（国立大学のみ抜粋）です。この３年間をみても総合型や学校推薦型選抜の募集人員が増えていることがわかります。
特に、総合型選抜について、今から１５年前の２０１０年度（平成２２年度）入試の募集人員（国立大学）は２８５４名でした。近年ではその３倍の募集人員に迫る状況となっており、今後もその人員（割合）が増えていくことが予想されます。

文部科学省（2025）「令和８年度入学者選抜について」より引用

受験生にとっては、総合型や学校推薦型選抜を通して大学への学ぶ意欲やこれまでの多様な経験を発揮できるチャンスが広がる意味ではよいことです。
そして、国立大学では、アドミッション・ポリシーに基づき、基礎学力の確認をしつつ「多面的総合的に」受験生を評価する選抜方式（総合型・学校推薦型）の割合を高めていく方針となっています。

しかし、受験の機会が増えるほど、受験にかかる費用（入学検定料、交通費、宿泊費、外部試験の受験料など）がかさむことを忘れてはなりません。

この「受験にかかるお金」の公的な支援は一部の自治体に留まっており、全国規模ではあまり進んでいません。現行の奨学金制度は徐々に充実してきていますが、これは入学「後」の学費や生活費の支援が中心で、入学「前」にかかる出費は、受験生やその家族の負担に任されてきました。

その結果、せっかくの挑戦機会を、経済的理由で諦めざるを得ない受験生も存在しているのではないでしょうか。

■ 国立大学SS基金とは？

こうした課題を解決するため、私たちは「国立大学SS基金」を創設します。支援内容は、以下の2つのタイプを計画しており、まずはⅠ型を令和８年度から開始予定としています。

• Ⅰ型：受験料支援

  • 国立大学の総合型・学校推薦型選抜にチャレンジする経済的に困難な受験生に対し、入学検定料などを支援します。

• Ⅱ型：地域定着・進学支援（計画中）

  • 地方国立大学に進学し、将来その地域に就職または当該大学の博士（後期）課程進学を志す学生を対象に、卒業・修了後のキャリア形成を支援します。

≪SS基金のロゴについて≫
「SS基金」の「SS」は総合型選抜、学校推薦型選抜（推薦）の略、そしてロゴは、大学への真の学びに対する受験生のチャレンジ意識とその成長感を表現しています。
 

■ まずは「0を1に」する挑戦

国立大学の入学検定料は、1校あたり約17,000円です。私たちは、まず1万円の支援を200名の受験生に届けることを目標にしています。これは決して十分な額ではありませんが、「入学前支援」というこれまで存在しなかった枠組みを社会に提示する第一歩です。将来的には高騰する「宿泊料」などの支援にも繋げていけたらと考えています。

■ さらに広げていくために

本プロジェクトでは、基金支援と並行して、情報の「届かなさ」にも向き合います。奨学金や支援制度があっても、それを「知らなかった」ために活用できなかった、という情報格差（情報ギャップ）が現実に存在します。

そのため、次のようなプロジェクトも複数回にわたって自宅からでも気軽に参加できる「オンライン」形式で企画し、このプロジェクトの中でこの基金制度の発信を行い、それにあわせて各国立大学の魅力についても発信したいと考えています。

• 国立大学だけの進学説明会
  参加国立大学が協力し、受験生に直接情報を届ける説明会。
  ※主催：国立大学だけの進学説明会実施委員会（本説明会は次年度から規模を拡大する予定）
   
• 大学進学情報セミナー
  国公私立大学を問わず大学受験や大学生活に関する様々な情報を発信するセミナー。
  ※主催：オウガス（当セミナーで基金制度の発信を行います）
   

参考：国立大学だけの進学説明会 | 国立大学をめざす受験生のためのガイダンス、大学進学情報セミナー

これらを通じて、支援が必要な受験生へ確実に情報が届く仕組みを構築します。

オンラインによる進学説明会風景

■ なぜ、私がこの活動をするのか

私はこれまで30年近く、大学入学者選抜と高等教育に関わってきました。また、本務の関係で全国各地の進学相談会に出向いて様々な相談にも対応してきました。意欲や能力があるのに経済的な理由で大学進学に悩む声、家計を無理してでも何とか子どものために入学までの費用を準備しなければならない保護者の声、これらをお聞きすることもありました。
そして、

「行きたい大学があるが現実的に合格の可能性が高い大学を優先してしまう」
「経済的な事情からチャンスを絞らざるを得ない」

このような声を聞くたびに、何とかできないかと考え続けてきました。
私たち大学の教員は、学生を迎える立場でありながら、経済的な壁に対しては無力であると感じることも少なくありません。だからこそ、志ある若者を受け入れるための「入口支援」を、私たちの手で始めたいのです。

進学相談の場面

■ めざす未来と波及効果

この基金が広がれば、大学受験のチャンスをより多くの若者に届けることができます。
しかし、こういった基金制度は、財源の獲得と同時に永続性の確保と対象者の拡充を視野に入れて展開する必要があると考えています。
将来的には、

• 公益法人化による活動と永続性の確保
• 公立大学や私立大学進学希望者への支援拡大

なども視野に入れています。
「大学進学は特別なことではなく、当たり前の選択肢がある社会」を実現するために、皆さんの力が必要です。
取り組むべきことは沢山ありますが、私たちオウガスは、まずは「0を1に」そこから始めたいと思っています。

一般社団法人高大院接続支援機構ホームページ

■ 支援の使い道と目標金額

目標金額：300万円（オールイン型）

• 入学検定料の支援（1万円 × 200名）
• 説明会・セミナー開催費用
• スタッフ人件費や運営管理費

■ 最後に、オウガス代表理事より

●（一社）高大院接続支援機構〈オウガス〉
代表理事　高木　繁（名古屋工業大学名誉教授）より

皆さまのご支援が意欲ある生徒の「国立に行きたい」という想いを叶える力になります。
「チャンスを与える側」になってみませんか？皆さまの応援で、1人でも多くの若者が、自分の未来に挑戦できる社会を共に創造しましょう。
このプロジェクトにご支援・ご賛同をよろしくお願いいたします。
 

進路講演を行う高木代表理事

挑戦者の自己紹介

植野美彦

所属：一般社団法人高大院接続支援機構

（一社）高大院接続支援機構〈オウガス〉
設立時社員
国立大学アドミッション担当教員を本務として活動する一方、オウガス事務局渉外・基金部門にて、国立大学SS基金の制度設計、各種説明会事業への参画と渉外活動に従事。