はじめまして。徳島大学理工学部理工学科機械科学コース2年の三輪凌空(みわ りょうく)です。
私は今、プロジェクトを率いる先輩たちに学びながら、その背中を追いかける形で挑戦しています。目指しているのは「燃費1000km/L」という大きな夢。仲間と力を合わせて走る一員として、この挑戦に全力で取り組んでいます。
このプロジェクトに加わったきっかけは、正直に言えば「単位が取れる」という気軽な理由でした。けれども最終的にエコランを選んだのは、もともと学生フォーミュラをやりたかったものの徳島大学にはなく、最も自動車に近い活動がエコランだったからです。さらに「先輩たちのようになりたい」「先輩たちが受け継いで整備してきたマシンを鈴鹿で走らせたい」という気持ちがありました。
日々友人や代表の小若駿斗さんをはじめ先輩と一緒に工房で作業をしていくうちに、この活動はただの授業単位以上のものになりました。特に、入部して間もない1年の5月、それまで不動だったマシンが初めて走行した瞬間を目にしたときの感動は忘れられません。「自分もこの一員として、この車を鈴鹿で走らせたい」と強く感じ、エコランが自分にとってかけがえのない挑戦になったのです。
そしてもう一つの理由は、内燃機関への想いです。電動化が進むなかで、エンジンを使った乗り物は将来なくなってしまうかもしれません。だからこそ、より燃費が良く、環境負荷の少ない形で内燃機関を残していきたい。その思いが、今も私を突き動かしています。

学生がゼロから車を作るチーム
徳島大学エコランプロジェクトは、2023年に発足した新しいチームです。現在は理工学部の学生を中心とした21名のチームです。1年生から大学院生までが所属し、それぞれが役割を担っています。カウル班は空気抵抗を減らすボディを設計し、エンジン班は燃料効率の改善に取り組み、足回り班は安全で安定した走行を目指します。広報や資金調達を担うメンバーもいて、学生だけで運営する総合チームです。
活動の舞台は大学の工房。授業が終わると仲間が集まり、夜遅くまでボルトを締めたり、シミュレーションを繰り返したり。初めて工具を握る1年生が先輩に教わりながら作業する姿も見られます。車が好きな人、ものづくりを学びたい人、環境技術に関わりたい人――異なる動機を持つ仲間が、一台の車を完成させるために力を合わせています。

失敗の数だけ強くなれた ― これまでの歩み
2024年、徳島トヨタ様の支援を受けて初めて鈴鹿大会(Hondエコマイレッジチャレンジ・鈴鹿サーキット)に出場しました。結果は燃費128.966km/L。初めて自分たちの車がゴールを走り抜けた瞬間は、大きな達成感を与えてくれました。
翌2025年は改良を重ね、燃費252.478km/Lを記録。大学・短大・高専・専門学校クラスで第2位という成績を収めました。しかしその道のりは順調ではありません。試走ではエンジンがオーバーヒートし、ブレーキが効かなくなり、部品が破損するたびに立ち止まりました。心が折れそうになった時もありましたが、仲間と知恵を出し合い、走り切った瞬間の感動は今も忘れられません。
前年の約2倍という飛躍的な成長で、新聞にも掲載され、活動が広く認知されるきっかけとなりました。確実に力をつけている実感を得る一方で、さらなる壁も見えてきました。
見えてきた壁。既存車体ではもう戦えない
惰性走行で他校よりスピードが伸びない。タイヤの取り付け角度を最適化する「アライメント調整」が難しく、駆動抵抗が増えて燃費に影響してしまう。ボルトの規格も統一されておらず整備に時間がかかる。こうした技術的な課題は、努力で乗り越えられる部分もありますが、既存の車体では限界があります。
さらに2026年からは大会の規則が変わり、ハイオクガソリンが廃止され、カーボンニュートラル燃料(CN燃料)のみが使用可能となります。環境にやさしい一方で、燃えにくく煤が多いため、エンジンに大きな負担をかける難しい燃料です。
「このままでは戦えない」――そこで私たちは、ゼロから新しい車体をつくることを決意しました。

新しい車体で未来を切り拓く
次の挑戦は、ゼロからの新車体づくりです。これまで培った経験をすべて注ぎ込み、今までの限界を超える一台を目指します。
例えば、カウル(車体の外装)は前輪まで覆い、できるだけ空気抵抗を減らす形に。足回りはホイールを見直し、軽くしながらも強度を保つ工夫をします。ハンドル操作には「アッカーマンステアリング」という仕組みを取り入れ、無駄なくスムーズに曲がれるようにします。そして心臓部であるエンジンは、環境に配慮したカーボンニュートラル燃料に合わせて細かい調整を繰り返します。
言葉にするとシンプルですが、どれも一筋縄ではいかない作業です。ボルト一つ、角度1度の違いで結果が大きく変わります。時間をかけて組み立て、失敗しては直し、また走らせる。その繰り返しの中で、少しずつ「自分たちの車」が形になっていきます。
一から作り直すからこそ、新しい発見があり、成長があります。この過程こそが、私たち学生にとって最大の学びだと感じています。

3年後の私たちが見ている景色
私たちは夢を夢のままにせず、着実に近づくための3か年計画を立てました。数字だけを追いかけるのではなく、毎年「何を学び、どう改善するか」を明確にしています。
- 2026年度:まずは新車体を完成させ、カーボンニュートラル燃料に対応できるようエンジンを調整します。車検を通過し、安全に完走することが最初のゴールです。ゼロから組み上げた一台が大会のコースを走り抜ける姿を、必ず実現させます。
- 2027年度:前年の走行データを徹底的に解析し、抵抗の少ないカウル形状や足回りの最適化を進めます。理論と実験を往復しながら改良を重ね、燃費300km/Lの突破を目指します。完走から「記録更新」へ。挑戦のステージを一段上げます。
- 2028年度:ここまでの学びをすべて注ぎ込み、燃費500km/Lに挑戦します。同クラス最高記録に並ぶ水準であり、キャブレターエンジンの限界に迫る挑戦です。これが実現すれば、私たちのチームは全国に胸を張れる存在になります。
こうした積み重ねの先に、「燃費1000km/L」という夢が見えてきます。大きな目標も、理論と実践を繰り返す小さな一歩の連続でしか近づけません。3年後、徳島大学エコランプロジェクトは確かな成長を遂げ、夢に挑む準備が整ったチームになっていると信じています。

徳島から広がる学びの輪
エコランプロジェクトは、立ち上げ当初から、企業の方々に技術面でのご協力をいただきながら活動を続けてきました。私たちはまだ学ぶ途中の学生であり、教えを乞いながら少しずつ車づくりを進めています。その過程そのものが楽しく、成果も少しずつ形になってきました。
だからこそ、このワクワクを自分たちだけのものにせず、仲間を増やし、地域の方や子どもたちと共有したいと考えています。常三島祭や地域のマルシェに車体を展示し、「車って面白い」「ものづくりって楽しい」と感じてもらえる瞬間は、私たちにとっても大きな励みです。
大きなことをしているわけではありませんが、一歩一歩の挑戦の過程を開いていくことで、未来につながる輪を広げていければと願っています。

夢を形にするために
私たちは、ものづくりが大好きな学生が集まり、授業だけでは得られない実践の学びをこのプロジェクトで積み重ねています。好きなことだからこそ続けられる、好きだからこそ困難を乗り越えられる――その想いで仲間と挑戦を続けてきました。
しかし「ゼロからの新車体製作」と「CN燃料対応」という新しい挑戦には、これまで以上に大きな準備が必要です。カウルやエンジン、足回りなどの主要部品はもちろん、試走を重ねるための消耗品や調整費用もかかります。これまで大学の予算や協賛企業のご支援で活動を続けてきましたが、それだけでは十分ではありません。
だからこそ今回、クラウドファンディングを通じて 広く皆さまのお力をお願いすることにしました。いただいたご支援は、新車体の開発に直結する資金として活用し、確実に次のステップへとつなげてまいります。
私たちが目指しているのは、単なる記録更新ではありません。電動化が進む時代だからこそ、内燃機関をただ消してしまうのではなく、環境に優しい形で進化させ、次世代に残したい。その思いを込めた挑戦です。
支援してくださる皆さまには、活動の進捗や大会での成果を丁寧にご報告いたします。車体が少しずつ形になっていく過程、試走を繰り返すたびに改善されていく様子、そして大会本番での挑戦を、共に見守り、喜び合っていただきたいと考えています。
どうか、徳島大学エコランプロジェクトの新しい一歩を、一緒に支えてください。

一緒に未来を走ってください
挑戦は決して簡単なものではありません。何度も失敗し、悔しい思いを重ねてきました。それでも仲間と力を合わせ、最後まで走り切った瞬間の感動があるからこそ、挑戦を続けられます。
これまでで一番心に残っているのは、2年生の6月、鈴鹿サーキットのホームストレートをマシンが前年より明らかに速いスピードで駆け抜けた瞬間です。夜遅くまで仲間と作業を重ねた努力が無駄ではなかったと実感し、胸が熱くなりました。そのとき「エコランの一員として車体づくりに関わる自分」を誇りに思えるようになったのです。
私は今、次期代表として現代表の背中を追いかける立場にあります。来年度、自分がチームを引っ張っていくことを考えると足りないところばかりですが、誰にでもフレンドリーに接する性格を活かして、上級生と下級生の壁をなくす雰囲気づくりを心がけています。工房で後輩と先輩が楽しそうに語り合っている姿を見ると、「やってきてよかった」と思えます。
「燃費1000km/L」という夢は、まだ遠くにあります。けれども、一歩一歩の積み重ねで必ず近づけるものだと信じています。
皆さまの応援が、私たちの車づくりを支え、次の一歩へ踏み出す力になります。
心からの感謝を込めて――一緒に未来へ走っていただけましたら幸いです。

国立大学法人徳島大学への寄付と税制について
本プロジェクトへのご寄付は、徳島大学基金「教育・研究・社会貢献事業」への寄付として受入れ、支援に役立てます。徳島大学基金からの謝意としては、広報誌、教育・研究・社会貢献事業報告書をお送りさせていただいております。
国立大学法人徳島大学へのご寄付につきましては、個人からの寄付では所得税の所得控除、住民税(徳島県と県内市町村が条例で指定する寄付金として)の所得控除、法人からの寄付では法人税の損金算入が認められます。
寄付金領収書は本プロジェクト終了日である、2026年1月13日の日付けで発行いたします。税制上の優遇措置をお考えの方は対象となる年にご注意ください。
個人からのご寄付
国立大学法人徳島大学に寄付金を支出した場合は、所得控除制度が適用され、(総所得金額の40%を上限とした寄付金額)から2,000円を差し引いた額が課税所得から控除されます。
実際の税控除額は前記の控除額に各人の税率を乗じたものになります。
個人住民税については、(寄付金(総所得額の30%が限度)-2,000円)×10%が寄付控除額となります。
10%の内訳は、都道府県が指定した寄付金が4%、市町村が指定した寄付金が6%となっています。
確定申告期間に所轄税務署で確定申告手続きを行う必要があります。その際に、国立大学法人徳島大学が発行する『寄付金領収書』が必要になります。
住民税の控除適用のみを受けようとする方は、『寄附金領収書』を添えてお住まいの市町村へ「都道府県民税・市町村民税控除申告」を行ってください。
法人からのご寄付
法人からのご寄付につきましては、寄付金額全額が当該事業年度の損金に算入されます。
この寄付金による損金算入は、国立大学法人徳島大学が発行する『寄附金領収書』で手続きができます。
振込によるご寄附について
このプロジェクトはクレジットカード決済以外に銀行、郵便振込によるご寄附も受け付けています。
入金確認のための支援者様の振込名義などをお知らせいただく必要があります。銀行、郵便振込によるご寄付の場合は必ずご記入をお願いいたします。
≪手順≫
①リターンのコースを選択し、「寄附するボタン」を押してください。
金額を確認し、配送先住所の入力を終えると、振込で支援するかカードで決済するかを選択できます。
表示される画面に従い、次の事項を入力してください。
振込先、口座番号等は申し込みをいただいたのち、支援者様に自動返信メールにて連絡します。
・振込名義人のお名前
・金額
・寄附コースの名称
・領収書などの送付先住所、電話番号、メールアドレス
・お名前公表について(はい・いいえ)
②ご注意事項
・振込に際しては振込手数料のご負担をお願いいたします。
・カード決済でご利用できるのは、Visa、Mastercard、JCB、American Express
となっております。
挑戦者の自己紹介
三輪 凌空
所属:徳島大学エコランプロジェクト
私は埼玉県出身で、祖母の家がある徳島に進学しました。食べることが大好きで、外食では普通の店よりも珍しい料理を求めて出かけます。これまでにロシア料理やベトナム料理など、普段なかなか出会えない“ちょっと変わった料理”を経験として味わっています。
また、小学4年生から高校卒業までボーイスカウトに所属し、キャンプやスキーを通じて自然の中で活動することに親しんできました。さらに幼い頃から自動車に魅了されており、今でも整備や改造の動画を見て過ごすほどの車好きです。
小若駿斗さん
新車体製作頑張りましょう!!