私たちは、音楽という共通のことばを通じて、国籍・文化・世代・専門性など、あらゆる垣根 (Borders) を越える体験を届けたいと願い、「Harmony Beyond Borders」というコンサートプロジェクトを立ち上げました。このプロジェクトは、「音楽で世界と地域をつなぐ」ことを目的としています。

この取り組みは、鳴門教育大学でグローバル教育を専門とする日下智志のKUSAKA LABに所属する9ヵ国18名の留学生・日本人学生と、音楽科教育コースの日下瑶子ゼミの学生たちが協働して生まれた、これまでにない新しい形の共創イベントです。数学教育や国際教育を専門とする研究室と、音楽教育を専門とする学生たちがタッグを組むことで、教育と芸術が交わる新しい学びの場が生まれています。

徳島県の藍住で2025年7月27日におこなった第1回目のコンサートには、 日本人・外国人、子どもから大人まで、59名もの方々にご参加いただきました。
参加者の方々から寄せられた「心から楽しめた」「外国とつながる素晴らしいプログラムでした」という声が、私たちの次なる挑戦への大きな力となっています。

音楽でつながる、地域と世界
こんにちは。本プロジェクト代表の、鳴門教育大学で准教授を務める日下智志です。

私の専門は数学教育および国際教育協力で、これまで日本、アフリカ、ヨーロッパをフィールドに、算数・数学教育に関する国際共同研究や、各国の算数教科書の編集などに携わってきました。日本の算数教科書の編集委員や、英語版教科書の編集長も務めています。
私が主宰する研究室「KUSAKA LAB」には、現在9か国18名の学生が集まっています。
出身国も文化も異なる仲間たちが、教育を通じて自国や世界をより良くしたいという熱い思いを持って、日々研究に励んでいます。
私たちは、多様な視点や考え方から課題に取り組み、新たな知を創造し、社会に還元していくことを目指しています。

なぜこの活動を行うのか?
鳴門教育大学の留学生と学部生が、音楽という非言語活動を通じてつながり合う。その出会いが、やがて鳴門や徳島を日本全国、そして世界へ発信することにも結びつくのではないか。
そんな漠然としたアイデアを温めていましたが、音楽科教育コースの日下瑶子先生にご相談したところ、そのアイデアは一気に加速度的に膨らんでいき、「Harmony Beyond Borders」誕生の原点となりました。

コンサートの準備段階から、挑戦は始まっていました。音楽科の学生とKUSAKA LABの学生たち。
専門も文化も異なる中で、「どうすれば一緒に音楽を創れるか」「どう伝え合うか」を、言葉の壁を乗り越えながら試行錯誤する日々でした。

練習や本番では、言葉が通じなくても留学生と日本人学生が心を通わせ、理解し合っている瞬間を数多く目にしました。
「歌詞がわからなくても、リズムで通じる」
「国や文化が違っても、ハーモニーは一つになれる」
その光景は、私が考えてきた「垣根を越える学び」が、音楽によって一瞬にして実現されるのだということを、改めて強く実感させてくれました。

「学生同士の垣根を超えた学び合いが、やがて地域活性化と多文化共生へとつながる。その良いスパイラルは、やっている私たち自身が一番楽しんでいることで、さらに良い循環を生み出していく」
それに気づいたときに、このプロジェクトの可能性を確信しました。だから私は、この感動をさらに社会に広げたいのです。

私たちが届ける「3つの特別な体験」
このプロジェクトには、他にはないユニークな面白さがあります。
1:教育大学から生まれた異分野共創
数学教育の研究室と音楽科教育コースがタッグを組んで創り出すコンサートは、全国でもほとんど例がありません 。一見かけ離れた分野が出会い、教育と芸術が交わることで、これまでになかった新しい学びの場が生まれています 。まさに、“教育大学だからこそ実現できた融合”なのです。

2:「聴くだけじゃない、全員でつくるコンサート!」
このコンサートは、観客も「共演者」です。舞台と客席の境界は消え、全員が歌い、リズムを刻み、ゲームを通じて心を通わせます。それは、ただの音楽イベントではなく、「体験型の学び」としてのコンサート。“聴く”から“共につくる”へ。これが他にない醍醐味です。

3:Borders(垣根)を越えること自体が学び
国籍、世代、言語、専門・・・。私たちには数えきれない違いがあります。けれど、その違いがあるからこそ「どう伝える?」「どう分かり合う?」と模索し、互いの視点を尊重しながら一歩ずつ歩み寄ります。そのプロセス自体が、まさに「学び」であり、「共生社会の縮図」です。

私たちが音楽で越えた「Borders」
この活動は、参加した学生たちにも大きな変化をもたらしました。
彼らが実際に感じた想いをお聞きください。
プロジェクトメンバーの声です。
「今回のワークショップに参加して、改めて、音楽の持つ力に気づくことができました。私自身、最初は留学生の方々と英語でコミュニケーションをとることに不安がありました。しかし、その不安に反して、ワークショップ準備が始まると、毎回の打ち合わせを楽しみにしている自分がいることに気づきました。言語も、文化も、背景も違う私たちですが、このワークショップを共に楽しみながら取り組むことができたのは、音楽を通して繋がりあえたからだと感じてします。音楽の持つ力、それはあらゆる壁を乗り越えさせてくれる力でもあると思いました。」
「私は、このイベントに参加して、音楽の素晴らしさを再認識する事が出来ました。イベントの初めは、普段関わることが少ない留学生との交流に不安もありましたが、音楽を通じて、一緒に楽しむ事が出来たり、互いの国の文化を知ることが出来たりと、私にとってすごく有意義な時間になりました。そして、イベント当日は、自分自身だけではなく、参加していただいたお客様とも一緒に音楽を楽しむことができ、音楽が持っている力を肌で感じられることが出来ました!また、この経験を通して、自分のことを少し見直すきっかけにもなりました。私は人と関わる時、最初は不安でも、音楽や会話を通じて距離が縮まっていく瞬間が本当に好きなんだと気づきました。そんな自分らしさや大切にしたい気持ちを改めて知ることができて、これからもいろいろな場面でその想いを大事にしていきたいと思います。」
「このイベントに参加してみて、私の視野は大きく広がりました。私はこれまで、挑戦することを避け、安全な道を選んできました。私にとって大きな挑戦だったこのイベントでは、普段接する機会のない留学生をはじめ、お子さんやご年配の方など、幅広い年代・背景を持つ方々と関わることができました。言葉や年代の壁を、音楽の力で乗り越えることができた経験は、かけがえのない財産です。
参加前は、多様な人と関わることに抵抗を感じていましたが、終わってみると、海外や県外に出て、もっと多くの人と交流したいという意欲が生まれました。今後は、この経験を生かし、ご来場いただく方々にとって新たな道を開くイベントを企画・運営し、必ず成功させたいと考えています。」
「海外の方と関わる機会がこれまであまりなく、不安な気持ちで参加しましたが、皆さんが温かく迎えてくださり、安心して楽しく活動することができました。本番では、お客様とさまざまな国のアクティビティや歌を通して交流する中で、自分でも気づかなかった新たな一面を知ることができ、貴重な経験となりました。」
「年齢、性別、国籍問わず沢山の方々に参加いただきました。皆で一緒に話したり歌ったり踊ったりしながら、参加者の方々も含めて皆で楽しいイベントを作り上げたように思いました。すばらしい時間でした。また、私自身貴重な経験となりました。私は高校の教員の経験とJICA協力隊の経験があり、日本の高校生や海外の方とはいくつかイベントを開催したことがありますが、小学生やそれ以下の年齢の子どもたち、またご年配の方たちと一緒に楽しむようなイベントの経験がありませんでした。今回、すごく貴重な経験となりました。参加いただいた方を初め、きっかけを作っていただいた先生と一緒に協力した仲間たちに感謝しております。」
「言葉があるとその先へ行ける」と、学生時代の先生が言ってくれたことが今でも残っている。そしてこのHarmony Beyond Bordersのイベントもまた、「歌があるとその先へ行ける」、それを感じさせてくれるものになった。ネーミングの通り、国境を越えた調和だったり、気持ちの上での一致だったりが音楽を通して色んな場面であった。当日は国籍に限らず、世代や年齢といった色々な垣根を十分に越えて、本当にbeyond bordersを体現する時間が持てたと思う。言葉も音楽も人と人とを繋ぐ大事な接着剤みたいなものであって、少し関係を改めないといけない、そう思った時には傷を治す薬みたいなものにきっとなるはずだ。

皆様のご支援で実現したいこと
徳島での第1回コンサートは大成功でした 。しかし、それを一度きりの奇跡に終わらせるのではなく、この取り組みを日本全国へ広げたいと考えています。外国人住民が増加している地域や、逆に過疎化が進み外国人と接する機会が限られている地域に、この音楽を通じた出会いの場を届けたいのです。
しかし、その実現には会場費、交通費、広報費などの資金が必要です。学生の情熱だけでは到底まかなえない現実的なコストが常に立ちはだかっています。
そこで、この鳴門教育大学発のプロジェクトを全国に届けるため、目標金額を150万円と設定させていただきました。
皆様からいただくご支援の一つ一つが、次のような形で「一つのハーモニー」に直結します。

あなたの応援が、次の「ハーモニー」を生み出します
「Harmony Beyond Borders」は、音楽を通じて人と人が出会い、違いを超えて心が響き合う奇跡の場です。
文化や言語、年齢や専門の違いさえも、音楽は軽やかに乗り越えていける。そして、これは単なる音楽イベントではありません。それは、「未来の共生社会の種まき」なのです。
音楽には、「知らない」を「親しみ」に、「違い」を「豊かさ」に変える力があります。
どうか、この挑戦に仲間として参加してください。
あなたの応援が、次の「ハーモニー」を生み出す力になります。
皆様の温かいご支援を、心よりお願い申し上げます。

挑戦者の自己紹介
日下智志
所属:鳴門教育大学 グローバル教育コース
役職:准教授
数学教育および国際教育協力を専門とし、日本の算数教科書の編集委員、英語版算数教科書の編集長も担当しています。
日本、アフリカ、ヨーロッパをフィールドに、数学教育におけるメタ認知に関する研究を行っています。
鳴門教育大学グローバル教育コースKUSAKA LABには現在9か国17名の学生が所属しており、世界の様々な教育課題関する研究をしております。
我々が目指すものは、多様性を活かして様々な視点及び考え方から課題に取り組み、新たな知を創造し蓄積していくことです。
また、課題改善に向けた具体的なアイデアを発信し、社会に還元していくことを目指しています。