皆さま、はじめまして。徳島大学附属図書館長の大山陽介と申します。
日頃より、徳島大学の教育・研究活動、そして附属図書館の運営に多大なるご理解とご支援を賜り、心より御礼申し上げます。
このたび、私たち徳島大学附属図書館は、本学が所蔵する貴重資料「伊能忠敬測量図」(徳大本伊能図)を本格的に修復し、未来の世代へ確実に引き継ぐための大きなクラウドファンディングプロジェクトに挑戦いたします。 これは、古い地図の修理費用を集めるためだけのお願いではありません。
地域の、そして日本の誇りである貴重な歴史的遺産が、今、保存・修復を必要とする深刻な課題に直面しています。この課題を乗り越え、市民の皆さまのお力添えをいただきながら文化財を守り抜き、「共に未来へつなぐ」ための応援者を募るプロジェクトです。

徳島大学から、初の「国の重要文化財」が指定されました
令和7年(2025年)9月、私たちにとって非常に誇らしい知らせが届きました。徳島大学附属図書館が大切に保管してきた伊能図が、国の重要文化財に指定されたのです。これは徳島大学にとって創立以来初となる快挙であり、「歴史資料」というカテゴリーでは徳島県内で2例目という非常に貴重なものです。
実は、この快挙の背景には、徳島大学附属図書館が古地図のデジタル化に取り組んできたということにも深い関連があります。
徳大本伊能図は、一度デジタル化を行った後、撮影技術の進歩に伴いさらに高精細なデジタル化を行っています。
また、平成31年(2019年)には、「図書館をただの倉庫にしない!古地図をデジタルデータ化して保存・公開したい」というスローガンを掲げ、クラウドファンディングを実施いたしました。
その節は、多くの皆さまから温かいご支援をいただき、誠にありがとうございました。
このような「高精細デジタル化」への取り組みと、古地図を傷めることなく調査・公開を続けてきた長年の研究成果が実を結び、今回の重要文化財指定へとつながりました。皆さまのこれまでのご支援があったからこそ辿り着けた、大きな一歩です。

奇跡のタイムカプセルと「針穴」の発見
徳大本伊能図は1950年代の徳島大学草創期に収蔵された古地図で、旧徳島藩主であった蜂須賀家に伝来したものです。
「竹紙」(唐紙)と呼ばれる繊維が細かい上質紙が使われ、作製当初の裏打紙がそのまま残されています。また、折り畳まれた状態が維持されており、地図を収める木箱に至るまで「作られた当時の姿を、ほぼそのまま留めている」という特筆すべき特徴があります。まさに伊能忠敬の息遣いごと箱に閉じ込められた「タイムカプセル」です。


このような価値は、ただ箱の中で眠っていたから分かったわけではありません。
徳島大学附属図書館は1990年代に古地図デジタル化の取り組みを始めており、そこに徳島大学総合科学部教授(当時。現在は徳島大学名誉教授)の平井松午先生が携わってくださったことによって、徳大本伊能図の研究が始まりました。

それまでの伊能図研究の多くは、伊能忠敬が行った測量法や地図史上での位置づけに関するものが多く、伊能図の作製技法に注目した研究は、あまり行われていませんでした。
それが、平井先生のチームによる研究によって、使用している紙の材質や美しい絵具の材料、伊能図の作製プロセスなど、徳大本伊能図の持つ様々な価値が解き明かされてきたのです。中でも驚くべき点は、「針穴」に関する新たな発見です。

「針穴」は下図から清図へ正確に情報を写し取るための痕跡で、その存在については知られていましたが、あまりにも細かく、デジタルデータでも確認が難しかったため、詳しい研究は行われていませんでした。
2010年代に、それまでのデジタルデータよりはるかに高精細なデジタル化に取り組んだことで、驚くべき事実が判明しました。地図の裏側から光を当てて透かしてみると、海岸線や街道の周りに無数の小さな「針穴」が浮かび上がってきたのです。その間隔はわずか0.2~数ミリ。「0.2mmの精度」に挑んだ測量隊のすさまじい執念と情熱の証であることが明らかになりました。
デジタルデータは徳島大学附属図書館のホームページ(伊能図学習システム)で公開しており、 市民の皆さまにも針穴を通して当時の測量隊の緻密な作業の成果を見ていただくことができます。
30年近くにわたる長年の研究の蓄積が実を結び、今回の重要文化財指定へとつながりました。そして、現在も研究は続けられています。研究に携わる学生は、当時の測量技術や地図製作の正確さについて理解を深めるとともに、歴史資料を後世に伝えていくことの大切さを実感しています。

新たな挑戦:未来の世代へ「生きた文化財」として残すために
このように学術的にも極めて価値の高い徳大本伊能図ですが、現在、深刻な課題に直面しています。作製から200年以上が経過し、地図の折目や切れ目の部分には破損や亀裂が見られ、墨や絵の具のはがれも生じています。また、虫損が確認されるほか、糊浮きやシワが生じている部分もあります。このような貴重な文化財をあと100年、200年先の未来へ残していくためには、これ以上の劣化を防ぐための本格的な「修復」が急務です。



当時の姿(原装)を保ちながら重要文化財の修復を行うには、専門技術による繊細な作業と、莫大な費用が必要です。私たちは、これを単なる「修理」で終わらせず、健全な状態を取り戻した後に、地域の皆さまに郷土の歴史資料を間近で見ていただける「生きた文化財」として公開することを目指しています。これが今回の新たな挑戦です。
修復事業の実現に向けて
今回の修復事業は、総事業費として約3,000万円が見込まれています。 私たちは、国や自治体からの補助金、財団からの助成金を最大限に活用できるよう申請していますが、それでもなお、大学自身で負担しなければならない費用は相当な規模になる見込みです。近年の厳しい財政状況のなかで、この多額の費用を大学の予算だけで捻出することは容易ではありません。
そこで私たちは、広く社会の皆さまからのご支援を募る決断をいたしました。決して小さな金額ではありませんが、文化財を確実に修復し、将来にわたって良好な状態で維持・継続していくために必要な目標です。皆さまからのご支援は、地図10鋪の本格的な修復作業の費用として大切に活用させていただきます。

徳島大学附属図書館を「知の拠点」として維持するために
今回のプロジェクトは、一度限りの修理で終わるものではありません。伊能図を修復し、継続的に維持・活用していくための「未来へ向けた歩み」の第一歩です。
【ステップ1:5か年にわたる本格修復と、継続的な管理・維持(令和8年度~12年度)】
専門の修復工房にて、地図に刻まれた歴史的な情報を損なわないように配慮しながら、破損やはがれ、糊浮きなどの修復を、5年間かけてじっくりと行います。この期間中、毎年多額の自己負担額が発生し続けます。そこで、今回のご支援を皮切りに、重要文化財を長期にわたって共に守り、継続的に維持していくための「応援者」の輪を広げていきたいと考えています。

【ステップ2:「生きた文化財」としての公開と次世代への継承(令和13年度以降~)】
徳島大学附属図書館がこの重要文化財を所有し続ける最大の意義は、「安全に保管すること」だけではありません。これまでの30年近くにわたり、デジタル化や「針穴」の解明などの学術研究を支えてきた拠点として、さらに研究を深め、その成果を教育や地域社会に還元していくことにあります。 修復が完了した際には、健全な状態を取り戻した徳大本伊能図を、地域の皆さまに「生きた形」でご覧いただける特別展示や研究公開を実施する予定です。
かつて私たちが掲げた「図書館をただの倉庫にしない!」というスローガンのとおり、この宝物を大学の奥深くで閉ざすのではなく、広く社会に開かれた「みんなの宝」として活用し続けること。それこそが、私たちがこの重要文化財を所有し、未来へ引き継ぐ使命だと確信しています。

最後に:共に歴史を守る「応援者」になっていただけませんか
私たちは「貴重な文化財が劣化の危機にある」という課題を市民の皆さまと共有し、共に守り抜くチームを作りたいと強く願っています。
皆さまからのご支援は、伊能図修復の助けになるとともに、「徳島大学附属図書館を健全に維持していくための大きな力」にもなります。修復した伊能図を適切に管理し、「みんなの宝」として未来へ長くつないでいくためには、その土台となる図書館そのものがしっかりと維持されなければならないからです。 私たちは、これからも大学と地域、そして市民の皆さまをつなぐ「知の交流の場」であり続けたいと考えています。
どうか、伊能忠敬の情熱と徳島大学の研究者たちが紡いできた探究のバトンが詰まったこのタイムカプセルを未来へつなぐために。そして、地域と歩む徳島大学附属図書館の活動を応援していただくために、私たちの「応援者」としてプロジェクトにご参加いただけますよう、心よりお願い申し上げます。

国立大学法人徳島大学への寄付と税制について
本プロジェクトへのご寄付は、徳島大学基金「教育・研究・社会貢献事業」への寄付として受入れ、支援に役立てます。徳島大学基金からの謝意としては、広報誌、教育・研究・社会貢献事業報告書をお送りさせていただいております。
国立大学法人徳島大学へのご寄付につきましては、個人からの寄付では所得税の所得控除、住民税(徳島県と県内市町村が条例で指定する寄付金として)の所得控除、法人からの寄付では法人税の損金算入が認められます。
寄付金領収書は本プロジェクト終了日である、2026年12月28日の日付けで発行いたします。税制上の優遇措置をお考えの方は対象となる年にご注意ください。
個人からのご寄付
国立大学法人徳島大学に寄付金を支出した場合は、所得控除制度が適用され、(総所得金額の40%を上限とした寄付金額)から2,000円を差し引いた額が課税所得から控除されます。
実際の税控除額は前記の控除額に各人の税率を乗じたものになります。
個人住民税については、(寄付金(総所得額の30%が限度)-2,000円)×10%が寄付控除額となります。
10%の内訳は、都道府県が指定した寄付金が4%、市町村が指定した寄付金が6%となっています。
確定申告期間に所轄税務署で確定申告手続きを行う必要があります。その際に、国立大学法人徳島大学が発行する『寄付金領収書』が必要になります。
住民税の控除適用のみを受けようとする方は、『寄附金領収書』を添えてお住まいの市町村へ「都道府県民税・市町村民税控除申告」を行ってください。
法人からのご寄付
法人からのご寄付につきましては、寄付金額全額が当該事業年度の損金に算入されます。
この寄付金による損金算入は、国立大学法人徳島大学が発行する『寄附金領収書』で手続きができます。
振込によるご寄附について
このプロジェクトはクレジットカード決済以外に銀行、郵便振込によるご寄附も受け付けています。
入金確認のための支援者様の振込名義などをお知らせいただく必要があります。銀行、郵便振込によるご寄付の場合は必ずご記入をお願いいたします。
≪手順≫
①リターンのコースを選択し、「寄附するボタン」を押してください。
金額を確認し、配送先住所の入力を終えると、振込で支援するかカードで決済するかを選択できます。
表示される画面に従い、次の事項を入力してください。
振込先、口座番号等は申し込みをいただいたのち、支援者様に自動返信メールにて連絡します。
・振込名義人のお名前
・金額
・寄附コースの名称
・領収書などの送付先住所、電話番号、メールアドレス
・お名前公表について(はい・いいえ)
②ご注意事項
・振込に際しては振込手数料のご負担をお願いいたします。
・カード決済でご利用できるのは、Visa、Mastercard、JCB、American Express
となっております。
挑戦者の自己紹介
大山陽介
所属:徳島大学附属図書館
役職:館長
徳島大学附属図書館長の大山陽介です。私は普段、数学を専門とする研究者ですが、今年4月に館長に就任いたしました。 デジタル化が進む現代でも、「なんとなく」立ち寄って手に取った本が心を動かすような、図書館という「偶然の出会いを生む場」の価値は揺るがないと信じています。当館には、長年大切に保管され、徳島大学初の国指定重要文化財となった「伊能忠敬測量図」が所蔵されています。何百年も前の資料が、未来の誰かにとって輝きを放つ瞬間がある。これこそが図書館の醍醐味です。 この200年前の奇跡のタイムカプセルを良い形で後世に残し、社会に開かれた「みんなの宝」として未来へつなぐため、皆さまの温かいご支援をよろしくお願いいたします。
豊田 哲也さん
徳島大学がお預かりしている伊能図が国の重要文化財に指定されたことは、大きな喜びです。高精細デジタル画像の作成をきっかけに、伊能図研究に新たな展開がもたらされたことは、徳島大学の学術研究の成果と思います。今回の修復作業によって、貴重な資料が永続的に活用されることを期待しています。